参考資料 日経新聞 2007・1・29 「株主とは」物言う中身が問題だ
「文句の中身」 多角経営でつまずき、経営再建中の社長に株主が次々と声をかけていく。「独自の製品開発をあきらめるな」「苦しくても人材育成を大切に」。声の主は「取引先持ち株会」のメンバーたち。取引先は身内の社員とも、よそ者のファンド株主とも違う。苦言も激励も口にする身近なご意見番だ。運命共同体の一員として助言せずにいられない。株主の存在がクローズアップされてきたが、権利を主張するだけの「モノ言う株主」は村上ファンドの村上氏の退場で力を失った。今後は発言の説得力や真剣さが問われる時代になっていく。 図書館と利用者の関係にも「文句」の取り扱いにトラブルが多い。文句の類似語は言い掛かり、言い草、苦情、難癖、不満とイメージが悪い。どうも感情が先に来るもののようだ。同じ事を言っても意見でなく、文句に代わる原因は、その前にも「あるべき姿にない」という不満を抱えている。では「あるべき姿」とは何か?あるべきのべきは助動詞べしで、当然の意を表す。図書館として・・して当然だ。利用者として・・して当然だとなる。 しかし、そこには・・して当然だという、自分の勝手な思い込みしかないのである。そこにお互いの合意がないということだ。図書館のやるべきこと、利用者としてのマナーなどは、特に明示されることはなく、また明示されていても互いに真摯に受け止めていない。多分、それらを巡るコミュニケーションの場と時間を持たないからだ。思い込みや誤解から「文句」が生まれるとしたら、それを意見に昇華させるにはどうすればよいのだろうか。 それは、互いにじっくりと理解しあうコミュニテーションの時間と場を持つことだ。 図書館と利用者は、図書館を育てる車の両輪だ。まず、利用者の文句を聞くこと。文句の本質までたどることだ。本質的な会話になった時、文句は意見に変質する。そこで、利用者に図書館の理念、目的、サービス、計画を説明すること。分かってもらうまで、説明することだと思う。企業は株の運用結果を分かりやすく、株主に伝える事に尽力している。わけの分からない会社には株主は投資をしない、そして会社の運営に意見を述べるのが最近の株主だ。株主と会社の関係はそのまま利用者と図書館の関係になる。利用者の税金で図書館は運営されているのだから。図書館の予算が少ないのは、財政課がけちだからでも、市長が悪いのでも、議員が図書館に理解を示さないからでもない。図書館が利用者に文句ではなく、意見を言わせないからだ。図書館に対する意見は図書館に向かわない。図書館に対する意見は議員に向かい、市長に向かい、財政課に届くのだ。ほら、こうすれば図書館の車輪は力を合わせて、前に進むのである。
by tsuji_bunbun
| 2007-03-24 00:00
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