11 『旅する絵本カーニバル』の魅力ー1
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[みんなの図書館」12月号掲載   辻桂子

九大工学部男子学生が「絵本」を読む風景


九州大学伊都キャンパスで開催された「絵本カーニバル」で驚いた。
工学部の男の子たちが絵本に惹きつけられ、絵本を手に取り読み出した。
何冊も黙って読みふける男の子、友だちと語らいながら読む男の子。
男子学生と絵本、こんな風景を図書館では見たことがない。
もちろん、本屋でも見かけない風景だ。
なぜ、絵本カーニバルでそんなことがおこるのか、
3人の関係者にインタビューしてみた。

◎「旅する絵本カーニバル」とは
「旅する絵本カーニバル」は、現在、九州大学ユーザーサイエンス機構子どもプロジェクトの特任教授、目黒実さんが9年前に有楽町の東京国際フォーラムで始めました。絵本の森で子どもと大人が、絵本に触れて、読んで、過ごして、楽しめる空間を提供するイベントとしてプロデュースしたそうです。子どもプロジェクトのイベントとしては2005年7月の熊本県清和村(現・山都町)からはじまり、これまでに20回ほど開催されています。
この度、「文字から発想する斬新なアイデアを使って、公共施設の活性化をうながすキッズデザインプロジェクト」として評価され、2006年度のGOODDESIGN賞を受賞しました。
子どもプロジェクト http://www.kodomo-project.org/
九州大学 ユーザサイエンス機構『子どもプロジェクト』
TEL:092-642-7264 FAX:092-642-3825

◎図書館にない風景
九大伊都キャンパスでの[絵本カーニバル]を企画した楢﨑尚弘さんに絵本カーニバルの魅力と成果について聞きました。楢﨑さんは、九大教育学部を卒業して絵本カーニバルに関わっています。

「絵本カーニバルin伊都」は2006年6月26日から7月2日まで「あなたの心のドアをノックする500の物語」というキャッチフレーズで開催しました。たまたま訪れた伊都キャンパスがあまりに無機質だったので、この空間に絵本で[色]をつけて見たいと思ったのが始まりです。キャンパスは山の上にあって一部分がオープンしたばかりでした。周りは造成地でまだ緑もなく、理工学部の学生は男性が多く、潤いのない世界でした。
そこで、絵本を使って居場所を作ってみようと思いました。大学生と絵本をつなぐ目的は自分が大学生になって再び絵本を読み始め、新鮮な驚きと安らぎを感じたので、そのことを伝えたかったのです。「家族」「戦争」「旅」「ファンタジー」「絵本を作る」「シュール」「パンク」などという24のテーマを決めて、絵本を担当する遠藤さんと一緒に500冊近く選書しました。
伊都キャンパス1階フロアのオープンスペースを空間デザインし、ガラスの明るさを活かして清潔で明るく、子どもに気持ちいい空間を作ろうと思いました。本棚は本を収納する箱と板で作りました。大学図書館にあった赤いソファを運び、木のおもちゃや使い古した革のトランク、白熱灯のランプをあちこちに配置してインテリアを整えました。子どもの目線に作られた書棚の絵本を全て平置きにしました。「絵本は表紙が語るもの」なので、そのメッセージ性を大切にしたかったのです。24のキーワードで自分なりの物語を作り、入り口から物語がテーマに沿って流れるようにセッティングしました。会場にはジャズを流し、九大生のボランティアがカフェを出しました。
会期中は毎日200人から300人の来場者があり、学生だけでなく地域の方もたくさん来てくれました。会場ごとにテーマを変え、デザインも変わるので、絵本キャンパスを追いかけて遠くからいらっしゃった方もいました。今度はどうなっているかと楽しみに思って来場されるようです。子どもプロジェクトは来場者数とともに滞在時間を大事に考えています。子どもの居場所作りが目的なので、大人にゆっくりしてもらうことで子どもたちも絵本カーニバルを十分に楽しむ事ができると考えています。母親はもちろんですが、家族でやってきた父親も子どもに本を読んであげるような姿を見かけました。
伊都キャンパスでは学生が授業の合間やお昼に絵本カーニバルの傍を通りかかり、一番通路側の絵本からだんだん近づいてくる感じで中に入ってきます。一度絵本を手に取ると、あれこれ探して読んだり、座り込んで読みふけったり、友達と話しながら読んでいたりします。そして、この本は「読んだ・読まない」「面白い・面白くない」「子どもに受けそう・理解できそうにない」というおしゃべりが始まります。絵本というツールから自分の気持ちが開いて、他人と交わるきっかけが生まれるのです。絵本は人生の最初に自分の気持ちを開いた道具ですから、大人になって読み返すことでたくさんの気付きが生まれ、素晴らしいコミュニケーションツールとなるようです。


MAYOTO STUDY

―絵本カーニバルの魅力はイベンターの情熱。絵本を媒介にさまざまなコミュニケーションが生まれることを楽しむ気持ち。ゆったりできる空間デザインとゆったりしたくなる時間つくりと暖かい気持ちでウェルカムする主催者の存在。学校でも家でもない、子どもたちの新しい居場所として提案される。―
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by tsuji_bunbun | 2006-12-24 00:00 | mayoto study
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